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◆期待、そして、報い
★ポンタさん作品集 作品05           Back Top Next


期待、そして、報い
 4月20日〔土〕

 前日に友人と酒を飲んだ俺は、テレビを見ながらまったりと土曜の朝を過ごしていた。
 床屋でも行ってくるか、などと思いつつ、うだうだしているとき、親父から電話が入る。

”おはよう、何してる?”
”別に、何も”
”こっち顔出せよ。昼飯まだだろ。一緒食おうぜ。何時ごろ来れる?すぐ来れるか?”
 俺は床屋に行ってさっぱりしてから親父に会いたかった。
 
”なんで?急ぐの?”
”実は市場で買ってきて欲しいものがあるんだ。”
”そうなんだ、いいよ。12時くらいだけどいい?”
 今は10時50分くらいだ。
”いいよ、じゃ、待ってる。めし食わないで来いよ。”

 俺は歩いて10分ほどのところにある、1900円の床屋へ向かった。
 土曜の午前中なんて、いつも混んでるのに今日に限って待たずにやってもらえた。
 30分ほどでカット、シャンプー、髭剃りも終わり、再び10分歩き。家に帰った。
 さっぱりと男前?になった俺は親父の焼き鳥屋へ向かった。

”早かったね”
 時刻は11時45分だった。
”飲むんでしょ、めしの前にいいかな?”
”いいよ。”
 俺は親父のお使いで、足らない肉を買いに市場へ行った。
 いい奴だ、俺。

 30分程で帰ってきた。
 スーパーで惣菜とサワーを買い込み、親父の小屋の中で一緒に飯を食った。
 飯を食い終わり、店も暇なので、親父は新聞を広げて読んだ。
 記事の内容は、どうでも良かった。
 広げた新聞のその下で、親父は俺の股間に手を伸ばしてきた。

 新聞で隠れているとはいえ、小屋のすぐ前をスーパーの客が行き来する。
 親父は周りに気を配りながら、俺のズボンのファスナーを下ろし、直に俺のチンポを握ってきた。

”お前のチンポ好きだ。”
 親父は激しく右手を動かし、俺のチンポはギンギンになった。
 俺も、新聞の下で親父のももをさすり、ズボンの上から親父の股間にいたずらした。

 そんな時。
”注文いいですか?”
 と、お客さん。

 親父、何食わぬ顔で、俺に新聞を残して立ちあがり、注文を受ける。
 親父はエプロンをしているので勃起してたって平気で立てる。
 俺のチンポは新聞の下、 勃起した状態で顔を出している。
 俺は勃起が収まるのを待って、チンポをしまうと一旦家に帰ることにした。

”また、夕方来るから。”
 今夜、ゆっくり楽しもう。
 何も知らない俺は、そう思って店をあとにした。
 親父だって、そう思っていたはずだ。
 なのに。




 4月20日〔土〕

 夕方6時。
 パソコンの掲示板にコメントを書き終えた俺は、自分の投稿文のプリントアウトした物の一部を持って、車で親父の焼き鳥屋に向かった。

 今日は土曜日、焼き鳥屋のあるスーパーも昼間来たときはすいていたが、夕方になって混み出したらしい。
親父は忙しそうに働いている。
”繁盛してるね。”
”夕方から焼きっぱなしだよ。”
”結構(売上が)行ったんじゃない?”
”いやぁ、忙しいばっかりで、昼間だめだったからね。
 待ってろ、早めに閉めちゃうからな”

 待つ間、俺は自分の車の拭き掃除をしたり、車の中で音楽を聴いたりして過ごした。

 7時半頃、親父は店の灯りを落として片づけをはじめ、そして、8時頃親父は店を片付け終わった。

”何食う?とんかつでも食うか”
 俺と親父はそれぞれ自分の車に乗り込み、インター近くのとんかつ屋へ向かった。

 店は満席。席に付くまでだいぶ待たされる。
 10分ほど待ち、席に通される。席に付いてすぐオーダーを聞かれる。
 ここの店、変なところで行動が早い。
 親父はダブルロースかつ定食。俺も親父と同じ物を頼む。
 そこから、さらに待たされる。

”あいつ、電話入れてこない。浮気してる、絶対。”
 そう言いながら、着信のチェックを入れる親父。
   (浮気してるのは、あんただろ)

 腹が減り、お互い眠くなりながら、出来あがるのをひたすら待つ。空腹と疲れで会話も途切れがち。
  かれこれ20分待ち、ようやく1つ出てきた。
 連れ立った客が同じ物注文したら、だいたい同時に出すよな、普通。
 普通じゃないのがこのお店。

”先食っていいよ。”
 親父の言葉に甘えて、ちょいとお先にいただきます。
”接客、なってないな。二度と来るか、こんな店。”
    (それは俺も同感)

 しばらくして親父の分も出てきた。黙々と食べる二人。
 親父がだいたい食べ終えた頃、親父の携帯電話が鳴った。

”もしもし、今どこ?”
 電話の相手は親父の彼氏。どうやら近くまで車で来ているらしい。
”誰かと一緒か?”
 自分のことを棚に上げ、彼氏の浮気を疑う親父。
 親父は、スーパーの駐車場に車を置きに行って、彼氏の車で一緒に帰る事にしたようだ。

 解ってる。全部解ってる。
 俺は親父の遊びの相手。
 好きだよって言ってくれても、愛してるって言ってくれても、本気じゃないって解ってる。
 そんなこと、全部解ってて本気になったのは俺のほう。
 
 だめなんだ。止められないんだ。この気持ち。好きだよ、親父。愛してる。

 親父は二人分の食事代をテーブルに残し、
”ごめん、先出る”
 と言って出ていった。

 一人空しく取り残された俺。
 ”お下げします。”
 二人の関係など知らぬ店員は、親父の食器をさっさと片付ける。

 俺っていったい何なの?
 哀しくなる。

 ゆっくりと残りを食って、俺も店を後にする。

 店の駐車場には、まだ親父の車が止まっていた。
 彼氏はもう来たのかな?
 彼氏が乗っているかもしれない。
 親父の車には近づけない。

 声もかけられず、俺はすっかり他人となって、その駐車場を後にした。

 散々待った挙句、目の前のご馳走をかっさらわれた。

”あなたが、好きだからそれでいいのよ。”
 テレサテンの愛人の歌が頭をかすめる。
”奪えるものなら、奪いたいあなた。そのために誰か泣かしてもいい。”
島津ゆたかのホテルを地で行く俺。

今ごろは親父と裸で抱き合っているはずのこの俺が、今は一人の帰り道。
哀しい。本当に哀しい。
温和な(鈍感な)俺は怒ったりしない。
怒りは全く込み上げてこない。
ただただ哀しく、寂しい気持ち。

こうなったのも俺のせい。
彼氏持ちの親父を愛した俺のせい。
こうなったのも俺のせい。
人のものに手を出した俺のせい。
だからこれは、当然の報い。
不義理なことした当然の報い。

 そんな中,親父から電話が入る。
”ごめん。怒った?”
”怒ってない。ただ、哀しい。”
 親父の声なんか聞いたら、涙が出そうになる。

”あいつの車で帰るんで、今車置きに行くところ。”
 一人で車に乗ってるから、今、電話してきたんだね。
”今度埋め合わせするから、ごめんね。”
”うん、わかった。(次の機会を)待ってるから。”

 こんなこと、解ってたのに。こうなるって事。
 実際、こんなことがあると、本当に惨めだ。
 親父は俺の親父ではない。
 親父は今、25歳の彼のもの。

”何もあの人だけが世界中で一番  優しい人だと限るわけじゃあるまいし  例えば隣の町ならば隣なりに  優しい男はいくらでもいるもんさ”

ここまで打ってとうとう涙が溢れてきた。

 いいよ、俺は大人の男。
 割り切った大人の付き合いが出来るクールな男。
 すべてお遊び。
 男同士の付き合いはさらっとしたのがいいところ。
 男と女の関係みたいにどろどろしてちゃいけないぜ。

 だから、すべてを割り切って、これからも俺は、決して実らぬ親父との関係を続けていく。

 だけど、いつかは。



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