「おはよう、おばちゃん」
「あら久慈さん、おはようございます、今日はVP?」
「そうだよ」 久慈大介は、おばちゃんに声を掛けた。
スタジオに入り、ディレクタの伊藤から、本日の本を受け取り、さっそくチェックを始めた。スタジオ初見で録音する事も多い。
「伊藤ちゃん、この新城は[しんしろ]それとも[しんじょう]どっち」 「えーと、[しんじょう]です」 「それと、この村の名前、ケツの下がりフラットだよね、役所に聞いて、確認してくれる」 「わかった、昔のフラットに発音する、発音が違うなんてクレーム受けたくないのでね」
私はマイクの前に座り、練習取りを終え、本番取りに、順調にテイク1を終えた。 「大ちゃん、P4、少しこぼれた、0.5秒巻いてくれる」
「OK、0.5秒ね」
ベテランになれば、この程度のことはできなきゃ仕事にならない。
P4をテクニックで巻き、P4だけテイク2を取り直した。
伊藤のOKがでて、この仕事は終了。
「お疲れ〜」
・・・車に戻り、事務所に連絡し、終了の報告と、夕方の仕事の時間とスタジオを再確認した。
夕方からの仕事も、無事完了し、本名の坂口酉人(ゆうと)になり、バーに向かった。 「あら、珍しい、ご無沙汰、いつものウーロン茶」 私はあまり酒が強くない、車もある、ウーロン茶を啜った。
ある晩、このバーで飲んでいる時、テレビから、自分の声が流れてきた。 『あら、この声、何度か聞いたけど、ゆうさんに、よく似てない?』 マスターはその後、ネットで調べたらしく、ある時、そっと小声で言ってきた。 『誰にも言わないから、ゆうさんは、久慈大介でしょう、顔も同じだった』
私は、素直に頷き、このことは内緒に、それとテレビのこと、お願いした。
その後、プロフィールの写真と、雰囲気を変える為、私はメガネを掛けることにした。
そんな、経緯いもあり、安心して立ち寄れる、バーの1軒になった。
マスターには、職業を知られたが、他は有名なナレータ、久慈大介だとは知られてない。
今日もマスターは、私を遣い、テレビを消した。
「マスター、ビール飲んでよ」 「ゆうさん、頂きます。でも、どう見ても55には見えないね、本当は50位じゃないの」 「ほんと、ゆうさんは若い、私と同じ歳とは思えない、私なんかデブちゃって」 隣で飲んでいた、太めの岩さんが話しに加わった。 「それに、その格好、サラリーマン中年とは大違いだ、いいね商売人は」 酉人は以前、服のことを聞かれ、商売をしている、ことにしていた。
「岩さん、この世界で、もてるでしょう。デブ好きが多いから」 「そうでもないよ、ゆうさんこそ、その立派な体つき、もてるんじゃない、あすこもでかいって、聞いてるし」 「そんなことないです、普通です。誰が、そんなことを」 「噂ですよ、この世界、噂好きですから、もし、私もでかいチンポならいいがな」 「ご謙遜を、立派なものを、ぶら下げてんじゃないの」
「私なんか、こんなもん」
親指を見せながら、岩さんは笑った。
「あらら、もちものの話、私は寝てくれる子なら、どんなの下げててもいいな」 「マスターは若専、だから若けりゃ、誰でも良いってか、ゆうさんはどんなタイプ?」 「ゆうさんは、40代が好み、デブ、ガリ、ちび、がダメよね、ノンケぽい人が好きなのよ」 「さすが、マスター、よくお客のこと、勉強してる」
マスターをちゃかし、好みのタイプもいないので、店をあとにした。
☆
家に帰り、食事を済ませ、女房と会話し、書斎でPCのメールを確認した。事務所からのメールの他、ネットで知り合った、祥に、返事のメールを書いた。
中年出会いのHPで彼の投稿文をみて、最初にメールを書いたのは、私だった。 173×68×43・祥のプロフィールの後、彼が望むタイプが記載され、私の年齢体型に、合致しているので、メールを送り、祥から返事が来た。
メールを遣り取りする良いメル友だ。祥からは画像を貰っていた、好みのいい男だ。事務所からのメールは、明日事務所に出向くように、だった。
「おはよう、今日は事務所に来るように、メールあったけど」 「おはよう、久慈さん、代理店のPが担当が変わるらしく、挨拶に見えたの、はい、これ名刺、マネジャーの優子が、いま9番で相手してるわ、でもなんて読むの、この名字」 「あー、これ[けどういん]と読むよ、確か、鹿児島にある地名だ」 「久慈さんの本名も、変わってるけど、いろんな名前があるものね」
私は9番のドアをノックした。
「はい、どうぞ」
と優子がドアを開け、招き入れた。 「はじめまして、ナレーターの久慈です。どうかよろしくお願いします」 「今度、こちらの担当になりました、祁答院です」 「前任者から、久慈さんは仕事が速くて、任せられる人だと、聞いております。どうかよろしく」 「それと、久慈さんは値段も高いが、質も高く、スタジオを抑える時間も短くて・・・」 マネジャーの優子が、久慈に代わり、礼を述べ、話を進める。
私は、祁答院を知っていた。
メールの相手、祥だ、画像の彼だ、名刺を見ると、祁答院祥吾で、間違いない。
☆
その日、メールを見ると、祥からメールが届いていた。
内容は私の事だった。 『今日、仕事先で、ゆうさんと同じようなタイプの人と会った、年齢はゆうさんより少し若いかな、でも素敵な人、つい、見とれちゃった、ねー嫉妬します?』
私が、私に嫉妬する訳ないが、私はいたずら心もあって、祥に返事を書いた。 『よかったじゃない、その人と上手くいけばいいね、仕事もあっちも』
後日、また祥から、ちゃかした、感じのメールが届いた。 『焼いてる、フフ、でもその人は、女好きだよ、だって、通称[マメの大ちゃん]と言われ、・・・・・・』 私は、そのメールを読みながら、笑っていた。
その後、二人は仕事先のスタジオで、数度合った。
私は、祥に益々、惹かれるが、メル友を止める潮時と思いはじめていた。
そんなる日、スタジオで、思わぬ出来事が起こった。
スタジオの子が、祥の名字、祁答院を読めなくて、不思議な名前の話しになった。
「確か久慈さんの本名、西の字に1本線を足した字で、それに人をつけ、「ゆうと」という名ですよね」
「そうそう、干支の酉年の字だよ、大ちゃんの親父も、変わった人だ、とり年に生まれた人、酉人だもん」
その時、祥は、私をみていた。
勘の良い、祥はメールで聞いてきた。 『ゆうさんに、以前、このHNのゆうは、何?て聞いたら、とり年の漢字の「酉」の字で、この字「ゆう」とも読むんだ、と書いていたね。悪いと思ったが、仕事相手の人、調べたよ。ゆうさんとその人、同じ歳だし、まさかとは思うが、久慈大介さん?』 私は、素直に、そうであることを、メールに書いて、祥に送った。
☆☆
メールの遣り取りで、お互いの立場を理解しても、なお、惹かれ合ってることで、ホテルを予約し、私は部屋で待った。 約束の時間に、祥こと祁答院が現れた。二人は向かい合い座った。
「ゆう、こと、ご承知の私、久慈です、メールにも書いたが、君の立場、私の立場を承知の上で、ここに来たんだね?」 「全て、承知のうえ、ここに私も来ました、メル友の、ゆうさんに会うために」
「少し、飲もうか、ゆうさん」 「そうだね、でも、私は酒、弱いんだ、それで、もし」
祥は、鞄から、冷えた白ワインを、取り出し、ホテルのグラスに注いで、私に渡した。
ゆったりのバスローブと、ワインの効果で、お互いのメールの遣り取りの、出来事を話す、祥を、自然に思えた。
「嫉妬のこと、覚えてる、あの時、見知らぬ、ゆうさんより、始めた会ったナレータの久慈さんに、好意を持ったこと、私は、今両方を手に入れた気持ちです。好きだ、ゆうさん、久慈さん」 「ありがとう、祥さん、そんな告白、うれしい。私も両方を得た感じだよ、抱きたい、いいか?」
返事の代わりに、祥は私に近づき、そっとキスをした。 私は、それに応え、彼を抱きしめ、キスを激しく返し、ローブの裾から、彼の股間に手を伸ばした。
勃起し始めた、肉棒をこすると、段々固さをましてきた。
祥がローブのひもを解き、私はローブを広げた。ギンギンに勃起した肉棒が現れ、私は肉棒をしごく、祥は気持ちいいのか、声をだす。 「ゆうさん、ベッドへ、私もゆうさんの体が欲しい」
私はローブを脱ぎ、ベッドへ仰向けに寝た。祥は、私の体の眺めている 「鍛えてるね、ゆうさん、張りのある体、厚い胸板、引き締まった大きな腹、最高だよ」 半ダチのチンポを、祥がもむと、私の肉棒は、ムクムクとカサを増した。先走りを亀頭に塗り込まれる。 「チンポも最高。大きくて、固い、私の大好きなチンポ」 といいながら、私のチンポにむしゃぶりついてきた。
亀頭が特に感じやすい私は、祥の舌がまとわりつき、舐められるたび 「ウグッ〜、ハッ、ハッ、ハッ、あ〜〜」 もだえて、声が出る。指でしこかれ、祥の口が私の腹から胸へ、そして乳首へと這い回る。 「いい、いい、いい、祥〜〜」
「祥に、これ以上攻められたら、私はいっちゃう、今度は私が・・」 私へ体に興奮したのか、チンポの先は、先走りがあふれ、亀頭がてかっている。手の平で亀頭に塗りこめ、更にしごく。 祥の乳首を舐め、肉棒をしごき、金玉をなぜ、穴に触れる頃には、祥は腰を浮かし、もだえの声をだした。菊門への刺激に、祥は脚を上げ、催促のポーズを取る。
「入れて欲しいのか、祥」 「ううん、経験無い、けど、触られると気持ちよくって」 「じゃ、チャレンジしてみるか」 「う〜ん、無理しないでね、だめな時は止めてくださいね」
私は祥の穴に湿り気を与え、ゆっくりと指を差し入れ、1本2本と広げると、祥は痛がった。 少しずつ、指で抜き差しを続け、祥の脚を持ち、祥のフェラで湿らせた、亀頭を菊門にあてがった。 亀頭が少し、入ったとこで、祥が力を入れるので、亀頭は押し出されてしまう。再度挑戦する。失敗。
二人とも未熟者、次の機会にして、またチンポへの刺激に変えた。 私は祥へ、祥は私へ、ゆっくりと、時に激しくせめると、祥がまず 「いくよ、いくよ、いい、いく〜〜」 私の腹から胸にかけ、ザーメンを飛ばしてきた。私もすぐに 「いっちゃう、いぐ〜〜」 と自らの腹にザーメンを放出した。
二人の中は、公私ともに順調に、進んでいる。 「けどちゃんプロディース、大ちゃんナレーション、良いコンビだね」 そう、祁答院の「けどちゃん」が、定着して久しい、仕事も二人きりの時も、けどちゃん大ちゃんに統一した。
「この本、作家さんに、けどちゃんが書かせたの、おもしろいよ、これ」 編集前の映像を、見ながら、ナレーションを入れる [映像の・・・をみて・・・「何を入れて欲しいと」言ってるのでしょうか] 「ダメダメ、深夜番組のクイズなんだから、テレビの前の視聴者が「男のあれ」想像させるんようにさー・・」
テイク4、なんとか、誘うような話し方ができた。 「はい、OK、お疲れ、大ちゃん」 私は、調整室の彼を、こんな言葉を言わせてと思いもあり、ガラス越しに睨みつけた、
彼は、ディレクターの後ろに立ち、舌を出しおどけてみせた。
夏目 >
勘弁やで、天使はん、これが最後やがんばってや、おおいにあばれや〜。「お〜い、夏目ちゃん、なんで私がゲイに仕立て上げらるんだ」やばいノンケの大ちゃんや、「すまん、大ちゃん、それと最後のナレーションの仕事なんかはせーへん人や、話の都合上言わせたかっただけや、堪忍やで」
(9/28-10:07) No.757
Angel pakuri >
この手の業界ものも書けるでごじゃったか。前作の山登りといい、今回の話の運びといい、「てる造おじさま」と似通ったところがあるでごじゃる。(てる造オジサンの方のHシーンはもう少し濃いかな)。
(9/29-16:53) No.762
Angel pakuri >
また、追加。夏目さん、お心遣いありがとうございました。……こういう書き手がいてくれるあいだは、サイト閉鎖はしにくいでごじゃるなあーーーー。
(9/29-16:55) No.763
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