二人の父親 1章 投稿者:企てる子 投稿日:2002/09/23(Mon)
14:39 No.171
「お父さんなんか、嫌いだっ・・」
一也は父親の哲也に憎しみの眼差し向けた。しかし、哲也の我が子に向ける目は困惑の中にも、引き締まった口元がほころんでいるようだった。
「一也・・・お母さんを頼むぞっ・・・・お父さんと離れて暮らしても、一也のお父さんだからなっ・・・・。泣くな。・・・・いつでも、一也をみまもっているからなっ・・・・。ごめんよ。・・・」
9歳の時に父と母は離婚をして以来、僕は父と会ってはいない。消息も解らないままである。
僕が中学二年の時、13年前に他界した母に聞き出す勇気も、母の口からも父の事は一切、言う事もなかった。
母方の伯父や伯母からも、教えてくれる事もなかった。僕は母の死後、伯母の所に養子として、迎え入れられた。伯母も伯父も子供が居なかったので、可愛がられ、厳しくも優しくも普通の家庭の親が子供を育てると、同じように大事にされて来た。
僕は父と母の離婚の原因や父の消息を不用意に伯父、伯母に聞き出すのは寂しい思いをさせることなのだろうと遠慮していた。
僕は今、26歳。外資系のメディア会社に勤務している。
もう、父の消息を知ろうとも思わなくなってきた。それよりも、父の顔もおぼろげに覚えていて、父のイメージも断片的でしかない。
急に、昔の事を思い出しながら、僕は会社の近くでランチを食べていた。
「お父さんかあ・・・。どんな、顔してたかなあ・・・思い出せないなあ。俺はお母さんに似てるし。伯母さんにも似てる。母方の血が濃いからなあ。似てないんだろうなあ、父さんに。・・・・・」
「おい、どうした。樫川。何、考えてるんだ。ぼーっとして。」
「あっ。お疲れ様です室長。なんでもないですよ。」
すかさず、笑顔を見せるのは、父が別れの時に見せた笑顔のおかげである。
僕は、いつもこうして来た。どんなに、苦しくても悲しくても人前では笑顔を見せて、何でもないと・・・。
父から受けたメッセージが僕のステイタスになっている。
父の血と、これだけが父との繋がりを結びつける確たることがらだ。他のことは、僕には何もない。何も、思い出せない。
「おい。樫川・・・どうしたんだ。何で、泣いてるんだよ。・・・・」
「・・・別に、泣いてなんかありませんよ。・・・・泣いてなんかな・・ですよ。・・・・室長。・・・泣いては・・・・・駄目ですか。この、年齢になって泣いてはおかしいのかなあ・・・・・・・」
「・・・・・そ、そんな事はないさ。泣きたいときは泣く。笑いたい時は笑えばいいさ。・・・・・樫川。何でも、話せよ。なんでもな・・」
「・・・田口室長。ありがとう・・・・ございます。・・・えへへへ・・・もう、平気ですよーーーだ。えへへへへへ」
このときの僕の笑顔は優しい笑顔の父親のとは明らかに違う。
ただ、解っていたのは、いつも人に気を遣い精一杯の笑顔だという事。でも、僕の最低限度サービスの笑顔は田口室長には通じなかった。
「よしっ。今夜、飲みに行こうか。君と最近話してないからなあ。」
嬉しかった。憧れの室長と久々に飲みに行けるのだ。願ってもない事だった。
53歳になる、室長はX1で、娘二人を奥さんに託し独身状態。学生の頃にラグビーの選手だった室長は未だに、精悍な恰幅のよい、社内でも女子従業員の間でも人気の的。
男好きの僕にとっても、室長を思いながら欲望の吐けにしてきたことか。
その日、室長は同僚の誘いを「だめだめ。今夜は樫川君の父親になって話を聞いてあげないと。」と、僕がはずかしい思いをするくらいかたくなに断っていた。
雰囲気のある、バラードの曲がかかるカフェバーで、昼間の事は一切、口に出さない室長だった。
他愛もない事を言い、僕を笑わせた。
こんなに、笑ったのは久しぶりだった。涙の理由も聞かずに、僕を楽しませようとする室長。
父さんとなら、こんな飲み方はできないんだろうなあ。ふと、また父を思う。
しかし、室長は勘がよく、僕の何気なくふさいだ目線から笑いに向けさせた。
室長の優しさが、胸に応える。散々飲んで、室長は酔っていた。大声やオーバーなりアクションをするような酔い方ではなかった。心地よい、酔いなのだろう。笑顔を絶やさなかった。
この人の性格の良さが十二分に解る気がしてきた。
「室長、タクシーでお送りしますから。」
「悪いなあ。・・・明日は土曜日だ。俺のとこに泊れ。泊れ。止まれ。おーい、タクシー止まれ。・・なんちゃんて。ははははは・・・親父ギャグだな。最低、最低な中年男だな、こりゃ。あはははははは」
止まったタクシーンに室長を押し込め、僕も脇のシートに座った。
「成城学園なんですけど。お願いできますか。・・・室長、・・・・ありがとうございました。…本当に・・・・・」
「何だ・・・・俺は君にお礼を言われるような事はしてないぞ。それより、俺のほうが君にありがとうだ。ははは・・・息子を持つと言う事は、こんなにも楽しいという事がよーく、わかったよ。ありがとう。」
タクシーは滑るように夜の高速を走り抜けた。
町の灯は満点の星。宇宙船に乗って、瞬く星をこのままずっと、室長と。
ユーミンの中央フリーウェイを思い出す。♪〜流星にな〜って〜♪
「何を唄ってるんだー。君は・・・・・ははは・・・・・・」
「いえ、急に思いだした唄がありまして・・・・・・何を考えてるのか。僕は、・・・おかしいですね。へへへ・・・」
室長は、そんな僕に優しい眼で言った。
「いいなあ。・・・・・若いという事は・・・・・」
タクシーの車内から、伯父と伯母に室長の家に泊まることを連絡し終えた。
タクシーは室長の道案内で、閑静な住宅街に入り込み、何世帯もあるマンションの前に止まった。
室長はドアーを開け、招いてくれた。
シャワーを浴び、室長の匂いが残る洗い立ての大きなパジャマに着替えた。
何故か、室長は浴衣に着替えていた。浴衣から覗いている胸毛。たぶん腹から陰毛までも続くように生え繋がっているのだろう。がっしりとした腕。夏の名残の日焼けした裸体を想像してしまう。
「一也。・・・・・あっ・・・すまん・つい、呼び捨ててしまった。樫川君。ビール飲むかい。まあ、座れよ。ソファーに。」
「なんか、気恥ずかしいです。室長の家で室長のパジャマ着て、面と向かうと・・・・・」
「何、言ってるんだよ。親子みたいなもんだろう。君とは。遠慮するなっ。あいにく、可愛い、パジャマは持ち合わせてないから、すまんが。ベッドも、ないぞ。ふとん。蒲団だ。俺の家は。ははははは・・・」
「すみません。ご馳走になりながら、泊らせてもらい。ありがとう、ございます。・・・」
「もう、いいよ。飲んだら、お寝んねとしようか・・・」
リビングの奥には部屋が3つあり、蒲団は6畳の和室に二組、敷かれていた。
枕元のランプの常夜灯が部屋を薄く照らし、ベランダに置かれているのだろう、鉢植えの樹木の葉が外の明かりで障子に影となり、映し出されている。
「君は、こっちだ。すまんな。別の部屋に寝て貰った方が良かったかな。蒲団がこの部屋に置いてあるからつい、ここに敷いたけど。」
「構いません。気になさらないでください。室長。」
「そうか、・・・・じゃあ。お休み・・・」
ランプの明かりを消し、室長は夏掛け蒲団をかけた。
「・・・・・おやすみなさい。」
「・・・・・・なんだなあ。君・・」
「はい。なんですか。室長・・・」
「いや、すまん。なんでもない。・・・・」
「言ってください。・・・なんですか。」
「いや、俺が離婚してから、君が初めてなんだよ。人がここに泊るのは。・・・なんか、うれしくてなあ。・・子供みたいだろう。俺は・・・・ははははは・・・」
クスっと僕は笑ってしまった。
「あっ、笑ったなあ。こいつ・・・」
室長は僕の方に寄り、頭をコツン。
そして、この野郎とばかりに、僕の脇腹をくすぐった。
「室長。…グッ・・・っははは・・ひーーはは・・やめてください。くすぐったいですよー。がははははは・・・・・・ひーーー室・・長・ク、苦しい。。がははははは・・・」
くすがる僕をわざと余計に困らせて、謝れという、室長。のたまわり、身体を室長の方に向けた時。
僕の顔の前に、室長の顔が。
僕は、室長の顔を鼻の先ほどの目の前で、みつめてしまった。
「ご・ごめんなさ・い。笑って・・・」
「俺も、・・・・ごめんなさい・・だっ」
と、言いながら室長は僕の唇を奪った。
激しく、僕の舌を引き出し室長の舌が、僕の口中を舐めまわす。吸い付くような、デイープなキッス。
室長の舌は僕のおでこから瞼、頬、耳を軽く歯でかじり、耳全体を舌で愛撫する。耳を吸い付くような舌技。首筋から胸、乳首、腕、手のひら、指を吸い、わき腹を室長の指が遊ぶ。
「ああ・・・室長・・・」
「室長なんて言うなっ・・・お父さんと、言ってくれ。…頼む。」
室長は、僕の背中に片腕で抱きしめ睨むように言った。
「俺は、お前を息子みたいに思えて・・・入社以来、お前を見てきた。好きで、大好きで、いとおしかったんだっ・・・俺の息子だったら、どんなにいいかって・・・・すまん。父親がするような事じゃないけど、息子という、お前の身体を愛したいんだ・・・いいか。」
僕は、室長の目を見つめ深く頷いた。
「嬉しいです。僕も、室長の事をずーっと思ってました。好きだったんです。以前から。逢ったときから。・・・・」
「初めての親子の契りだ。今日は。親子になる、儀式だ。」
「はい。お父さん。・・・・僕を…僕を愛して、めちゃくちゃにして、お父さんの好きなようにしてください」
お父さんは、鋭い目を僕に向け、観念しろとばかりに、僕の腕を上にし、大きな手で、それも片手で僕を押さえつけた。そして、ねっとりと、じっくりと、僕の身体をくまなく頭から足の指までも丹念に愛撫した。
僕は、体中の力が抜けて抵抗できないというのは、こういうことなのかと思った。
そして、大人の男の魅力と、女を抱くように僕を官能の波のように寄せる快感の嵐を僕に与えた。
「いいんだよ。気持ちいいなら、声を出してごらん。お父さんはお前の白い肌、体毛がない綺麗な身体、端正な顔が好きなんだ。それに、可愛い、お尻と女の子のように括れた腰。・・・・綺麗だよ。とても。お父さんとは、違うタイプのお前が好きなんだ。あああ・・一也・・・・おとうさん、嬉しいよ。息子が出来て嬉しい」
僕は、お父さん、お父さんと呼びながら、怒り狂ったような黒々とした、陰茎を舐めてあげる。
熱い血潮が脈うってるのがわかる。それは、太く筋張った血管が浮き出て、逞しい男そのものだった。
「お父さん、僕に飲ませてください・・出して・・・」
「飲んでくれるのか。・・・じゃ、お前のものむぞっ・・・」
父親と息子は、互いに、これでもかというほど陰茎をしゃぶり、同時に口の中に果てた。
「ああ・・いくっ。・・・」
「お父さん。僕も」
(続く)
よし > 「二人の父親」の続きを早くみたい!!
(9/23-23:42) No.172
◎◎◎ > なんで、改行せんの?
(9/24-10:12) No.173
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