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古(いにしえ)からのメッセージ
作:企てる造 作品41 古(いにしえ)からのメッセージ 投稿日:2003/06/08(Sun) 14:34 Back Top Next

古(いにしえ)からのメッセージ
  
  プロローグ                          


私は、万葉集(養老二年・西暦718年以前に書かれた)を読んでいたが、ある首を読んで腑に落ちない、消化不良的な思いをした。

筑波嶺に かか鳴く鷲の 音のみを 泣き渡りなむ 逢ふとはなしに

訳はこうだ。

鷲のように泣き泣いて、日々を過ごすのだろうか。逢うこともなしに。

恋しい人に辛い思いを嘆いて、詠んだものだ。


しかし、鷲が泣くのは本能的なもの、人が泣くのは意味合いが違う。

何かにたとえて、詠むのが万葉和歌なのはわかるが、・・・・・

う〜ん。考えすぎかなあ。意地が悪いのかとも、自分を呪う。と、思いつつ半日が過ぎた。


そんな、疑問の首となるようなほかの首があるかなと、読み漁る。

そこそこ、意地が悪いのだと、自分に言い聞かせ探し読む。

あるある。おっ、あった。あった。

こうなると、底意地悪さの根源みたいな私は、躍起になる。

この感情を是に当てはまるのはどうかなという首はいくらでもあり、意外に脳がないのではと思う。

万葉集の研究者はただ、短絡的な訳をしてるだけで、それに対し疑問が湧かないのだと、研究者をどこかアホ扱い。

古語を訳してるだけなのだ。


そういえば、青丹よし、奈良の都は、うんぬんの和歌があるが、あれは、国文学者と色彩学者が真っ向から対立して、意味を論じてたのを思い出した。

国文学者はならの都の繁栄を緑豊かな青々としたという表現で訳してるが、色彩学者は奈良の都は青丹、つまり酸化鉄が豊富に採取出来て、それで、繁栄した都なのだと訳している。

確かに、青丹という色がある。

鈍い、青がかった、黒っぽい色で、酸化鉄が含まれた岩を砕いて取り除いた色だ。

お世辞にも目の覚めるような綺麗な色ではない。

木に塗ると、黒くなり虫除けや、魔を追い払うと江戸時代には、料亭の塀を塗っていた。

黒い猫を飼うと魔を追い払うと言うのは、その頃から言い伝えられた事でもある。

日本語の曖昧さもある。緑を青と言って、緑の信号を青と言ったりとする。赤を明と記していたし、白を顕と記しもしてたように文字の意味合いが理解できれば良いが、日本人のたてまえと本音の曖昧さからも頷ける事でもあるが。





万葉集、14,516首を読むのも辛いのにもかかわらず、私は作者不明が大多数の東歌の全集を紐解いた。

なにげなく、ぱらぱらとめくり読んで私は目を疑った。

そこには、先ほどの首の返歌ではなかろうかと思う首がかかれていた。あくまでも、推測に過ぎないのだが・・・・・

逢ふすれば 鷲鳴くやうに 泣く泣りて 響き渡りて 憑くはの岩に

訳はこうである。

逢う度にあの、鷲のように鳴いてつくはの岩までも響き渡ってるよ。

この時代は別居結婚だ。いつも、会えるわけではないからいとおしい人を久々に抱いて、詠んだ首いなのだ。

たぶん、憑くはの岩は筑波山にある、岩のことではないだろうか。

奇岩が多い、頂上近くは男体山と女体山に別れる、双耳峰だ。

縁結びと夫婦和合の神様イザナギとイザナミを祀っている。

直感だが憑くはの岩は筑波の岩と思ったのだ。

なぜなら、常陸の国に赴任してきた人がツクハのミコト、今で言う県知事みたいなもので、いにしえの都の人々の憧れの地、常陸の国に後世に自分の名を残そうと、ツクハの山とした。それで、筑波に訛化したのだ。

そして、何より気になったのが憑く。

特別な岩に逞しい、愛しい人の姿を見て、とり憑かれているのではないだろうかと。

万葉集の歌人はほとんどが男。この首も男ではなかろうか。






私は、筑波に車を走らせた。

何かが、わかるのではと。

筑波の山中で、年2回行われる、かがひ(櫂△歌)。

近隣在々から男女が集まり、飲めや歌えやで気にいった男女がSEXをするのだ。俗に交ひ祭りとも言われた。

縁結びの神様のもと、擁護されていたのだ。

この時代にも、男と男が知り合い気に入り、結びついた者はいなかっただろうか。




私はスカイラインを車で登らず、あえて麓から登る事にした。

関東平野のほぼ中央にピラミッドのように鎮座している筑波の山。

標高、877メートル。低いが万葉の時代から、都の人達に知られていた山である。

西に富士、東に筑波。

神様が、富士の神に一夜の宿を求めたが、断られ筑波の神に頼んだ。

歓待した筑波の神は褒美に春夏秋冬、作物、山の幸、木々や花を年中咲かせた山にした。富士の神には荒涼とした作物が育たない、雪が年中ある山にしたと神話である。





本文



ふもとの田畑の間の農道を走ると、いくつもの道祖神がある。

あまりにも多いので、車から降り、道祖神を何点か見ることにした。

道祖神は豊作を願う男女のレリーフである。

裏には男性器と女性器が形作られている。

リアルな形に、心の動揺は隠せない。

大きさもまちまちである。

何点か見て、車に乗り込み、登山口まで走った。

ザックに必要な物だけを入れ、歩く。

途中、薄くらい林の中にお堂というか、祠みたいな物があり気になり見ることにした。

入り口には2点の道祖神。

奥へと入ると、少し湿った空気が淀んでいるようだ。

しかし、風が吹き込んでもいるので、冷たくも感じる。

なんの、へんてつもない何処でも見るような、祠だった。

無駄足だと、振り返り出ようと道祖神を過ぎてから、気がついたように静かに後ずさりした。



なんと、2対の道祖神の裏には大きさも形も違うが、男性器が2対形どられているのだ。

同じ道祖神の裏には、普通男性には男性器、女性には女性器。

それが、一つの道祖神に男性器が2対。

おもての顔を見ると、どう見ても男と女。

私は、作者不明の東歌が男性から男性に返歌した事への疑問と確信が胸中に入り乱れて交差していた。

私は、デジタルカメラを何度も向け、撮っていた。


だいぶ歩くと、森の中に広々とした場所があったので、私は休憩をした。

どうしてだろうか。何故だろうか。祠だから、昔から逢った由縁はと、思い考えていた。

辺りは深閑とした落ち着いた風情を放っていた。

私は汗ばんだTシャツと下着をを脱ぎ変えようと、誰もいないことをいい事に、大胆に裸になりタオルで身体を拭っていた。

しかし、暫く気がつかなかったのだが人の気配を感じていた。

後を振り向き、また振り返る。

たとえ様のない、見えない物が近くにいるような、そんな気がしてくるのだ。

私は、裸のままで、脱ぎ返るのも忘れていた。

なんだろう。この、雰囲気は。

と、思った瞬間。私の肩に誰かが触れたのだ。

驚き、振り返ると、透き通ったような肌の色の美青年が立っていた。

青年も裸のままで私に笑みを浮かべながら、私の頬を両手で触る。

私は、いつのまにかみ動きが取れないでいた。

腕を振り絞り、青年を追い払おうとしても、力が出ないでいる。

青年は、私の口元に口を寄せてきた。

冷たい舌が私の唇を触れる。

氷のようだった。

青年は、口から舌を抜き、膝まつく。



恐ろしさで、立ちすくむ私の足元で、懇願するような眼つき。

私は、何も言えず青年の目を見てるだけで、手の施し様がない。

青年は、白い手を私の陰茎に延ばしてきた。

口を寄せて、静かに陰茎を口に含んだ。

自ずから、本能的に陰茎がそそり立った。

青年の細い指が、陰茎と根元に触れる。

脈々とした陰茎の青筋を人差し指でなぞりながら、私を見つめる。

冷たい指だった。

私はとり憑かれているのだと、意識はある。

この青年は髪型も古の髪型であった。長い髪をまとめ、頭の上に団子状にまとめ止めている。


私は心で青年に聞く。

「君は誰だ。私は身動きできない。君の所為か。君は古の者か。」

頭に青年の応えが脳裏をかすめた。

「ああ、紀ノ国のツクハのミコト様。いとおしいお方。何故、あなた様は、こんなにも逞しいのか。私はいつも逢いたいのに。つれなくするなんて。久々に、あなた様の体で、かすめを。鷲のように上の岩まで届くように喜びの声を出しまする。」


私は、疑問の万葉集の答えを自ら、身体で、理解し始めた。

たしか、常陸の国と言われる前は紀の国と言われていたのを思い出した。日いずる、安住の地。日=常。住みやすい、黄泉の国ともいえるくらいの、地=陸。古の人々の憧れの地。

現代によみがえった、ツクハのミコト。私だった。

どうやら、私をツクハのミコトと思っているのか。

それとも、似ているからか。

私は、いつのまにか草むらに仰向けに寝ていた。

相変わらず、陰茎は天を向いていた。

かすめと言う青年は陰茎を根元まで咥え、喉を唸らせるような低くこもった声を出した。そして、私の顔に跨り、尻のすぼみを口にあてがった。私は、すぼみを舌先で舐めた。

快感の声が漏りに響く。

私は、出ない声をあえて、声を出してみた。



かすめ。

かすめは私を見つめ、涙を流しながら、私の毛深い厚い胸に顔を埋めた。

ツクハのミコト様。

静かな、奥ゆかしい声だった。

私は、かすめのすぼみに指を入れ、かすめは頷く。

私は、かすめのすぼみに陰茎を静かに埋没させた。

そこだけは、暖かい、生身のすぼみだった。

かすめは、喜び腰をうずめ、よがり泣く。

鷲のように。


さて、私は帰れるのだろうか。








暇つぶし > 素晴らしく詩的で素敵な世界に脱帽。凄い。 (6/9-08:55) No.563

Angel Kasume
> 訂正「筑波嶺に……の歌、三句目『音のみを』は→『音のみをか』」 前置きがちょい長すぎぃ〜だけど、充分いけてる。後半の空間はもっと長く書いてよーん。いずれは「私の身体」を通して、古代より出現した「ツクハの尊」と「かすめ」が交わっているところを体感するというか、私の目線のみならず感じ取っているところまで書いて「かがひ」にまでもっていくという手もあったかも。……いずれにしても、暴走フェロモン野郎のイメージを払拭する高貴な内容で味わい深いでごじゃる。久しぶりに感想書いたわ、おいらってば。 以上、―東の国のミコト様へ西の果てなるかすめより。がはっ! (6/9-11:45)
No.564

企 てる造 > 西のかすめ殿。むつかしいんですわいな。事の顛末ときっかけを結び付けていくと、全体に長くなってしまうんでわ。本ならいいけど、ネット上やさかい、程ほどで。すまんなあ。ちいと、もう少し、詠ませ方、構成、勉強しますわ。助言、ありがとさんどす。ほな、さいなら。東男より。 (6/9-14:00) No.566

binbin
> ひえー。エロ好きな僕にはあまりにもコ高尚すぎてコメントできましぇーん。 (6/10-15:20)
No.570

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